ラッキースケベ ~世にも奇怪な物語~

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(第1回)

yaitaonigiri.hatenablog.com

 

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~百年に一度だけ水面に浮上する目の見えない亀が,水面に漂っている木のたった一つの穴に入ってしまうような天文学的確率のこと。またそのたとえ~

 

 

早朝,私はスポーツジムにいたんだ。軽く運動をした後に,バイトに行くのがいつしか習慣と化していたからね。運動をした後,駐車場に停めておいた車に乗り込み,バイト先に向かおうとした。するとね,駐車場の前を自転車に乗った女子高生(あ,女子の学生のことね。年齢は16~18くらい)が通過したんだ。そして,ちょうど私の目の前に来た瞬間,

 

 

ふわりとスカートがめくれた

 

 

 

私は高揚したね!体の至る部分が高揚したね!!こんなにご都合主義な出来事ってあるかな??自分の目の前でスカートがめくれるなんて,コテコテのB級ラブコメでしか起きない出来事のはずだよ?

 

私は,朝からいいことがあったなーって幸せな気分のまま,エンジンをニコニコで始動させた。私のアルバイト先はそのジムから2駅離れた距離にあり,車ではだいたい5分程度かな。道中,早起きは三文の徳とはよくいったものだな~なんて考えながら運転して,そして,職場の駐車場に駐車したんだ。ミラーをたたみ,降車しようとすると,なんと,先ほどの自転車の女子高生が再び現れたんだ!そして私の目の前に来た瞬間,

 

 

ふわりとスカートがめくれた

 

 

一日に二度も自分の目の前で同じスカートがめくれるなんてことがあるだろうか?(いやない(反語))盲亀浮木ということわざが示すような,天文学的確率でない限り,想像しがたいはずだ。ま,私の亀も思わず水面に浮上しそうになっっちゃたけど。今回の件で,21世紀の運を使い果たしてしまったかなとは思ったけど,不思議と微塵の後悔もなかったんだ。でも,ある疑問がふと頭に浮かんだ。

 

2駅離れた距離を自動車と自転車が同じタイミングで走行できるのか

 

ということだ。つまり,最初にジムでチラリズムを目撃した後,ほぼ同時に駐車場を出て,車で5分ほど移動した距離で,再び自転車と遭遇することは果たして可能かということ。

 

多少の信号待ちはあったものの,極端に長い訳ではない。また,ジムと職場の間に極端な近道がある訳ではない。

 

つまり,考えられる要因としては,女子高生が競輪選手ばりのスピードで車に追いついたか,あるいは・・・・・

 

 

 

 

 

はじめから女子高生なんて存在していなかった・・・・??

 

 

 

 

 

 

 

ジムで見たのも,職場の駐車場で見たのも全て幻覚・・・・??

 

ま,まさかそんなことは・・・・ね?

 

ね,そうでしょう?

 

幻覚なんかじゃないよね??

 

先生,私が見た女子高生のパンツは真実ですよね??!!!!

 

 

んん・・なるほど。それは,たいへんでしたね。それで,DachimiNさんのお話によると,女子高生という16歳から18歳くらいの学生?が存在すると・・

 

は?ま,だから,その女子高生のパンツを二度見たけど,あり得ないタイミングだから現実かどうかわからなくなったてこと!!ちゃんと聞いてた?

 

はぁ・・なるほ・・ど。分かりました。とりあえず本日はこれくらいにしておきましょうか。お話お疲れ様でした。こちらの紙を帰りにカウンターに提出してくださいね。新しいお薬も出しておきますので。また明日お会いしましょう。

 

 

 

 

 

ふぅ~

 

 

先生,大丈夫ですか?

 

いや,今日はまたぶっ飛んでいたね(笑)しかし,女子高生って発想は面白いね

 

そうですか?私はすごく気味が悪かったですよ?なんだが性的な欲望がそのまま具現化したようで・・・

 

まぁ,それも仕方あるまい。我々人類が有性生殖を終えて2万年が経つが,0.000001%の確立で有性生殖の名残をもつ個体が発現してしまうのだよ。そういった個体には極度の幻覚と妄想を見てしまうのだ

 

そんな天文学的確率っ・・!まさに,盲亀浮木ですね・・・

 

 

 

 

 

 

 

デレレ・・・!!デレレレ・・・・・!

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【連載】 第2話 新たな刺客登場・・!?

 「第1話」

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かんたんなあらすじ

ちょろいと言われた私は,喫茶店で手を握られ簡単に恋に堕ちた。

 

 

第2話 新たな刺客登場・・!?

こもった熱と安い芳香剤の香りがブレンドし,不快感に満ちた車内に地元の友人を無理やり押し込めた。友人を誘拐し,件の喫茶店に向かうところである。前回のこともあり,なんとなく一人で行くのがこっ恥ずかしくなったのである。喫茶店は車で20分ほど離れた中々な距離にあるため,途中いくつもの喫茶店をスルーすることになる。友人のじっとりとしたドン引き視線は交差点に置き去り,私は健気に車を走らせ目的の喫茶店まで向かった。15個の喫茶店を横目にしたころ,ようやく到着した。しっかりとセットした髪を入念にルームミラーで確認し,仰々しく店の扉を開いた。

 

大乱闘スマッシュブラザーズ64で鍛えた驚異的な動体視力で,店内を一瞬でスキャンしたが,残念ながらこの日に件の店員はいなかった。あの娘がいないならもう帰ってしまおうかと思ったが,せっかくここまでついてきてくれた友人に示しがつかなかったので,しかたなく一杯やることにした。

 

対応してくれたのは,私(22歳)よりも2周くらい干支が回っている淑女だった。伝票をテーブルに置く彼女の手からは長い経験と苦労が刻み込まれていることを感じさせた。友人と好きなツナの話(ちなみに私は横綱)など他愛ない話をした後,店を出ることにした。レジには,先ほどの淑女がいらっしゃった。

 

 

私は前回と同じように絶対お釣りが生じる財布からお会計を支払った。

 

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(絶対お釣りが生じる財布)

 

淑女は私が支払った紙幣を受け取り,いくつかのお釣りを

 

 

 

 

 

 

 

私の手をがっしりと握りながら渡してきた。

 

 

 

 

 

 

 

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どくん・・・

 

エヴァンゲリオンみたいなエフェクトが入るのを感じた。え・・ちょっ・・・淑女・・?!非接触が叫ばれるこのご時世に濃厚接触?!・・なぜ?・・・まさか・・

 

 

 

 

 

 

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淑女・・・参戦っ!?(イメージ画像)

 

 

 

現時点で考えられる案は大きく分けて2つである。

 

1つ目は,元々この店のマニュアルでお釣りを渡す時にはお客様の手をがっしりと握って渡す,ということになっている。

 

2つ目は,前回の可愛い店員,今回の淑女共に,この私を堕としにきているということ

 

 

1つ目の案は,非接触が叫ばれる現在の社会情勢を鑑みると考えにくいので,2つ目の案の妥当性が非常に高い。

 

 

手のひらに残るぬくもりを感じながら,「また来よう」と誓うチョロい私であった。

 

 

つづく・・・

 

 

 

 

【連載】 第1話 チョロい男と可愛い店員

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このシリーズは現在進行形で私の身に起こっているしょうもないことを連載形式で述べる(つもりの)ものである。

 

話は遡ること,3年ほど前・・当時,大学に入学して浮かれていた私は自身が笑えない程モテないことに気が付いた。花のキャンパスライフとは真逆の鈍色の大学生活だった。そこで,プライドを全てドブに捨て,「私はなぜモテないのでしょうか」と真顔で友達に相談した。その友人はいつも「キモ」,「ウザ」,「クソ」と二文字以上で会話できないような人物であったが,私のこれまでにない真剣さに心を打たれたのであろう,改まった表情でアドバイスをくれた。曰く,「お前は女から見ると『チョロく』見える。ちょっと優しくしたら速攻で私のこと好きになるだろうなって思えるから,そんなチョロい男は全然魅力的に映らないよ」と普通にアドバイスをくれた。

 

ありがたいアドバイスを受けて,私は激昂した。なぜなら気に食わなかったからである。自らアドバイスを仰いでおいても気に食わないものだったら全力で否定するのが俺のSTYLE(生き方)だ。「ちょ,ちょ,チョロくなんかないわ!!!!」とザコキャラのようなセリフを残し,部屋を飛び出た。「お前はチョロい」という耳に残った言葉をかき消すために華やいだ街を全力で駆け抜けた。そう,俺様はチョロくなんて・・・ないんだ・・・・!!

 

そして,時は戻り,現在(2020年6月)。コロナによる外出自粛も徐々に緩和され,以前のように外食に行くことができるようになってきた。たまたま集中して行いたい作業があったので,普段は行かない少し離れた喫茶店に入った。カランコロンと軽快に扉が空いた。入口に設置してある除菌スプレーを手に馴染ませ,ふと目を上げると,まぁまぁ可愛い店員がいた。まぁまぁ可愛いなと思い席に着くと,まぁまぁ可愛い店員が注文を聞きに来てくれた。まぁまぁ可愛い店員は,結構可愛い声で注文を取り,その後,結構可愛い店員はコーヒーを持ってきてくれた。結構可愛い店員はコーヒーを机に置き,かなり可愛い店員が砂糖ミルクはいるかと尋ねてきたので,「いらない」と可愛い店員に返した。

 

そして,1時間ほど滞在した後,会計をお願いすると,どうやらこのご時世に珍しい現金専用のお店だった。私の財布は以下のようなもので,

 

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ぴったり払える小銭がないため必然的にお釣りが生じてしまう。紙幣で支払いをすると,可愛い店員はお釣りとしていくつかの小銭を

 

 

 

 

 

 

私の手をがっしりと握りながら渡してきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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どくん・・・

 

エヴァンゲリオンみたいなエフェクトが入るのを感じた。非接触が叫ばれるこのご時世に濃厚接触?!・・なぜ・・・ってゆーか・・・

 

 

 

 

 

 

 

めっさ,可愛いいやんけ・・・・

 

 

 

 

 

 

そう,俺は死ぬほどチョロい男だったのである。やっぱりあの友人のアドバイスは正しかったのだ。

 

カランコロンと軽快な音を立て扉がしまる。いや,これは後に続く波乱の警戒だったかもしれない。そんなこともつゆ知らず,間抜けな顔で「また来よう」と誓う私であった。

 

つづく・・・

【note】【ナンセンスダンス】投稿しました。

nonsensedances.com

note.com

最近は就活をするかモノマネの練習をするかで一日が終わります。最近一番自信があるのが

www.youtube.com

 

ここにでてくる

SOMEBODY TOUCHA MY SPAGHET!!」です。

 

喉が焼けるまで発声練習をして,声を遠くまで届かせるため肉離れになるまで筋トレして,ついに満足いくレベルまで持ってこれました。本当に他の追随を許さないほど,上手だと思います。

 

しかし残念ながら,これを披露することはありませんでした。

 

憎きコロナのせいです。

 

コロナさえなければ今頃,テレビにラジオに引っ張りダコだったことでしょう。

 

しかし,その機会が奪われた今,シコシコと就活をするしかありません。とりあえず就職するけど,いつの日か,全国のお茶の間で披露出来たらいいなぁ・・・

 

 

SOMEBODY TOUCHA MY SPAGHET!!

 

 

 

ダチョウに乗るためにベトナムに行った話

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プロローグ

照りつける日差しの中,見たことのないブランドの自転車を漕ぐ。

 

漕ぐたびに自転車はギィギィと大きな音を軋ませるが,それを咎める人はいない。というか,周りに人間がいない。

 

私たちは誰もいない空間をひたすらに進んだ。ダチョウに乗るために・・・

 

零日目

私は高校の友達二人と旅行に行くのが好きだ。これまで,和歌山では罰ゲームを街中でやる罰ゲームゲームを,福井県ではお互いをコーディネートし合う,クソダサ古着グランプリを行った。

 

 

 

yaitaonigiri.hatenablog.com

 

 

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そして,今回ついに,舞台を海外に移すことにした。行き先は恒例のダーツで決めようとしたが,さすがに海外となると,治安や金銭的にどこでも良いという訳にはいかなかった。そこで,現実的に行ける国をピックアップして,そこからルーレットで決めることにした。そして,ルーレットの結果,ベトナムに行くことになった。

 

行き先が決まったところでまず実行したのは,ベトナムの観光地を調べること・・・ではなく,ベトナムのディープな情報を集めることだった。無難な旅行をしたくないという思いは国内でも海外でも変わらないのである。現地に駐在している人のブログを漁っていると,あるフレーズに目が止まった。

 

 

ダチョウに乗れる公園

 

 

ダチョウに乗ったことは勿論なかったし,これからもきっとないと思われた。私の友人で異性から人気の高い怒助兵衛珍宝丸(どすけべえちんぽこまる)くんも「ダチョウに乗ると一皮むけるよ」と言っていたので,乗ってみる価値は十分あると考えられた。そこで,ベトナム旅行のメイン目的をダチョウライドとして,我々は三泊四日のベトナムの旅へ飛び立った。

 

 

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飛行機の語学学習ゲームの画像。ここまで怒るのも無理はない。

 一日目

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格安航空で行ったため,ベトナムには夜到着した。

 

東南アジアなだけあって非常に蒸し暑かったが,異国に来たという高揚感であまり気にならなかった。せっかくなので,初日くらいはベトナムらしい料理を食べることにした。私は沢木耕太郎氏の「深夜特急」を愛読しているので,作中のように玄人感あふれる店に行きたかった。そこで,メインストリートから一本外れた薄暗い路地にある大衆食堂に行くことにした。観光客向けではないので,メニューには英語はおろか,写真も無かった。フォーが食べたかったので「フォー!フォー!」とハードゲイばりに連呼しても全く通じなかった(実際にはファ~みたいに発音するらしい)。異国の若者が「フォー!フォー!」と奇声を上げる姿に心を打たれたのであろう,店員さんがゾロゾロと全員出てきてくれた。そして,彼らの長い話し合いの末,何とかこちらの意図が伝わったようだ。

 

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魂のオーダーで勝ち取ったフォー

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謎の煮物もなぜか来てしまった。

 

言葉が通じないながらも何とか理解してくれようと努めてくれた姿勢が嬉しかった。このフォーは彼らの優しさでいっぱいの人生最高の一杯になるだろうと思った。一口すすれば,芳醇な香りが口の中に広がり,思わず感嘆の声がこぼれた。「あぁ・・・俺,パクチー無理だったわ・・」と。思い出の一杯は全て友達にあげて,帰りに大好きなバーガーキングに寄った。

 

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ナゲットが安かったので40個買った。

二日目

メインのダチョウは三日目に取っておくことにして,この日は世界一奇妙なテーマパークとして名高い,スイティエン公園に行った。ここは,仏教のテーマ―パークとして有名で,仏像のプールから,画質の悪いヴォルデ●ートが目印のハ●ーポッターのアトラクション(おそらく無許可)の何でもありの楽園だった。

 

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こういうのがいっぱいある場所

 

 

特に強烈だったのが,Dのインフレだ。

 

ここで言うDとは3Dメガネや,4映画でいうDのことであり,この園内には,5D,6Dのアトラクションは当たり前で,驚異の8Dシアターまであった。

 

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ラーメンハンバーグカレー定食のようなオールスター感

 

壁面にはハ●クやス●イダーマンなど世界的大人気キャラクター(おそらく無許可)があり,面白そうな予感が満載だ。一体どんな面白い映像体験ができるのだろうとワクワクしながら入った。

 

室内に入ると,携帯をいじっていた係員がびっくりした顔で立ち上がった。どうやら我々が今日初めてのお客さんのようで,慌てて電源を入れて準備をし始めた。余談だが,私が出会ったベトナムの人はメチャクチャ働き者かメチャクチャサボる人の二極化が激しかった。恐らく社会主義国家だから一生懸命やってもやらなくても給料が変わらないと思っていることが要因なのだろうか。実際のところ聞いていないので分からないが,とにかく,この8Dガイは憎めないニコニコ顔で3Dメガネを渡し,案内してくれた。

 

中は,椅子が中央に置かれ,それを360°スクリーンが囲むような形式だった。なるほど,これが8Dかとワクワクして待った。しばらくしても他の客は来ず,観客は我々だけであった。係員は「はじめるぞ」のような言葉を言って消灯した。さぁ,どんなヒーロー達が出てくるのだろうか!

 

期待を込めた眼差しの先に映ったのはどこかの廃墟のようであった。FPSのような主観映像で,廃墟の中を進んでいった。

 

映像はPlaystaion2くらいの中画質で,おどろおどろしい音楽が流れていた。階段を昇る映像に合わせて椅子が上下に動いた。なるほど,とりあえずこれで4Dか。

 

そして階段を昇り切った先には血まみれの女が立っていた。そして突如,画面いっぱいに女のマジキチスマイルが現れたと思ったら,360°スクリーンいっぱいにハサミが現れ,首を斬られた。これで5Dかな。

 

首を斬られ一気に階段から落ちるような演出があり,それに合わせて風がどこからともなく吹いた。これで6D

 

落ちた先には巨大ムカデやクモ,ゴキブリがうようよしており虫の鳴き声に合わせて水(本当に臭い)が噴き出た。これで7D

 

しばらく360°いっぱいの虫を見せられた後,先ほどの血まみれ女が再び現れて・・エンド。

 

なんだこれ。

 

楽しそうな外観からは想像もつかないような,下品なグロ・ホラーだった。しかも,どう好意的に解釈しても7Dまでしかない。騙された(Damasareta)ということで,8Dか。

 

他のアトラクションもいたるところが杜撰ではあったが,その適当さが逆に面白かった。

 

三日目

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ついにメイン目的となる,ダチョウライドの日だ。ダチョウに乗れるのは,マンゴー公園という国立公園だった。場所はかなり郊外の大きな道沿いにあり,タクシーで来たは良いものの,帰りのタクシーは到底捕まらないような場所であった。帰りの不安を抱えながら,とりあえず送ってくれたタクシーの運転手にお金を払おうとすると,運転手が受け取ろうとしなかった。紙に書いて何やら説明してくれたのを考察するに,どうやら倍の値段を払えば帰りも送ってくれるとのことだった。周りは本当に何もないようなところだったので,これはありがたい申し出だった。運転手は時計を指さし,3時間後というジェスチャーをして,携帯電話の番号を渡してくれた。

 

帰りの心配も払拭されたことで,安心感が湧き出てきた。しかし同時に,運転手が迎えにくるまでの3時間しか遊べないというのは少し残念だった。少々短すぎる気もしたが背に腹は変えられまい。

 

 

しかし,5分後,この心配は杞憂に終わることに気が付く。

 

 

 

人が全くいないのだ。

 

 

 

それは客は勿論,働いている人も受付の人以外,ほとんどいなかったのだ。事前情報で聞いていたプールやワニ釣りも軒並み閉鎖,途中の売店もほとんど閉まっていた。ここにきて焦りが生まれてきた。この調子では最終目的であるダチョウライドも閉まっているのではないだろうか。無駄に広い園内をヨタヨタと進み,ダチョウを探した。

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人はいない

 

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文明はない

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クマはいた

 

すると,入園依頼,久しぶりに人を見つけた。そこは園内を移動するための自転車をレンタルする店のようであった。あまりにも広いので自転車で探索することにした。照りつける日差しの中,見たことのないブランドの自転車を漕ぐ。漕ぐたびに自転車はギィギィと大きな音を軋ませるが,それを咎める人はいない。というか,周りに人間がいない。私たちは誰もいない空間をひたすらに進んだ。ダチョウを求めて・・・

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クソボロ自転車を破格で貸してくれた。

 

そして,ついにダチョウが生息する小屋を発見した。因みに,ここまですれ違ったのは,自転車屋のおっちゃん(人間)とポニー2匹だけである。当然,ダチョウ小屋にも人の姿は見えなかった。入園してから半ば予想していたことではあったが,やはりショックであった。仕方がないので,諦めて自転車を返しに行こうとすると,運よくダチョウ小屋の近くに営業中の売店を見つけた。売店では,若いお姉ちゃんが楽しそうに携帯でおしゃべりをしてサボっていた。私は藁にもすがる気持ちでお姉ちゃんに助けを求めた。

 

「あのダチョウに乗りたい」という旨を伝えると,首を振られ,グーグル翻訳で「あれは閉まっている」というメッセージを送られた。

 

しかし,ここまで来て引き下がれない。怒助兵衛珍宝丸(どすけべえちんぽこまる)くんの「ダチョウに乗ると一皮むけるよ」というアドバイスを必ず実現させねばならないのだ。得意の粘りプレイをし,「日本からはるばる来た」「昨日は眠れなかった」「君が大好きだ」とまくし立てた結果,少しだるそうに携帯で連絡を取ってくれた。しばらくすると,原付に乗ったおじさんがメチャクチャだるそうに来てくれた。やった,ついに怒助兵衛珍宝丸(どすけべえちんぽこまる)くんの教えが叶うのだ!

 

 

原付おじさんはだるそうにダチョウの乗り方をレクチャーしてくれた。ダチョウは羽を持つこと(襲われるから),首にはさわらないこと(襲われるから),万が一落ちても逃げないこと(襲われるから)・・など

 

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ダ,ダチョウだぁ

恐る恐る乗ってみると,生物の温かさを直に感じた。乗り心地自体はそれほど悪くなかった。注意しなけらばいけないのは,ダチョウの猛ダッシュ時はビビらずしっかり掴まること(落ちて襲われるから),そして,ダチョウの首は180°回るので,後ろを向かれて突っつかれてもビビらず掴まること(落ちて襲われるから)であった。今思えばかなり危ない動物だった。襲われた時の保険などが厄介だったから原付おじさんは渋ってたのだろうか。いずれにせよ,原付で駆けつけてくれたのはありがたかった。

 

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はしゃぐ私と見守る原付おじさん

 

実際に乗れたのは一瞬であったが,夢が叶い嬉しかった。異国の地で交渉をし,未知の体験をする。この経験は,まさにダチョウに乗ると一皮むけるよという彼の教え通りで,困難を経て人として成長できた気がする。原付おじさんと売店のお姉ちゃんにお礼を言い帰ることにした。

 

しかし,その時点では,迎えに来てもらうはずの3時間後の時間までだいぶ時間があった。とは言うものの,これ以上無の空間でやることは無かった。仕方がないので,受付の人に電話を借りてタクシーの運ちゃんに迎えに来てもらうことにした。長い道のりを戻ると,なんとタクシーの運転手さんは入り口に車をベタ付けする迷惑駐車をして我々を待っていてくれたのだ。周りには時間を潰せるようなところは全くなかったはずなので,我々を送ってからずっとここで迷惑駐車をして待っていてくれたのであろう。涙がほろり。運ちゃんは約束の時間より早く帰ってきた我々を見ても特に驚く様子はなく,「ダチョウに乗ったんだ」と言っても,前を見たまま「ナイス」と言っただけだった。クールな印象だが,健気に何もない空間で待っていてくれたことが嬉しかった。「ありがとう」と心の中でつぶやくと,照れくさそうに窓を開けて,顔を背けた。やっぱり言葉は通じずとも思いは通じるんだなと思った。感慨にふけっていると,運転席だけでなく,すべての窓が開いていることに気が付いた。ダチョウ臭いから窓を開けただけだったようだ。

 

エピローグ

3日間だけだったが,ベトナムの色々な面を見れたと思う。特に人に関して言うならば,ベトナムの人は仕事を積極的にサボるような適当な部分も多かったが,それ以上に素朴な優しさを感じることができた。フォー屋さんの店員さんたち,原付おじさん,タクシーの運ちゃん・・・出会う人すべてにドラマがあり,彼らの優しさに触れられたのはとても良い経験だった。また,最大の目的であるダチョウライドによって人間として一皮むけたようだ。

 

因みに,ダチョウに乗った後のズボンは臭すぎたので,ズボンは捨てた。Tシャツも,靴も捨てた。物理的にも一皮むけたようだ。

 

 

 

 

 

七つの大便

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人間とは不思議な生き物である。高度な知能や技術を持ちながらも,究極的には動物的な判断に頼らざるを得ない。主に生存本能に起因するものが多いと思われ,例えば自分に危害を加える可能性がある対象から本能で逃げ出すというものがる。シマウマがライオンを一目見た時に「こいつには勝てない」と思い,逃げ出すように・・・

 

私は京都のイオンにいた。そのイオンの1階では地元の園児が描いた絵の展覧会が催されていた。どれものびのびと描かれており,まるで彼らの自由な気持ちを代弁するような絵ばかりで,楽しみながら観覧をしていた。すると,6歳くらいの元気な男の子と晴れやかな服装に身を包んだ母親(馬場ふみかに似てた)が入ってきた。男の子くらいの年から見ると園児の絵はひどく幼稚に見えたのであろう。「え?これは『絵』なん?ww」と煽りながら見ているようだった。とても6歳児とは思えない煽りスキルと皮肉である。その後次々と絵を指さし,「これも,これも,これも『絵』なん?ww」と煽りのパレードをし,母親はやや呆れた様子であった。そして,そのパレードの終着地点,つまり展覧会の終わりまでその煽りを続けた後,「これも『絵』なん?ww」と示した先には園児の集合写真があった。キッズが「まるで写真みたいやな」と言った時,私は思わず逃げ出してしまった。そう,「こいつには勝てない」と思ったのだ。

 

走りながら私は必死に祈った。「神様,私の汚らわしきダークソウルを浄化してください!」と。私は,愛知で生まれ育ち,持ち前のキラリと光るスキルでオモシロ人間として活躍してきたつもりであった。しかし,それは所詮,愛知というとてもとても狭い井の中でのことであり,お笑いの本場関西では,6歳児にすら勝てなかったのである。6歳児があのレベルの皮肉センスと「オチ」まで用意できたにも関わらず,私はと言えば,22歳になった今でも「うんこ」か「うんち」が最大のオモシロシグナルとして機能しているような分別もつかぬ青いガキなのだ。

 

私は逃げた。とにかく逃げた。なぜ逃げているのか?もうこれは理屈ではない。本能なのだ。6歳児の圧倒的センスはまるで水戸黄門の印籠のように有無を言わさぬ力があり,私は思わず逃げ出してしまったのだ。無我夢中で走り続け,息も絶え絶えに京都駅に着いた。上がり切った息を整えながら,名古屋までの運賃を支払い切符を買った。新幹線のホームに立つ頃には,汗も引き始めてきた。そして,同時に思わず逃げ出してしまった自分を恥ずかしく思った。せめて帰る前に自分と言うオモシロ人間を京都という土地に刻み込みたかった。私は脳をフル回転し,自身が持てる最大限のオモシロワードをひねり出してつぶやいた。「うんち!」。

 

ーーーー(この記事には「」内のうんこ(うんち)を除き,7つの「うんこ(うんち)」に関するワードがあるぞ!キミは全部見つけられるか??)------

 

 

 

ジジイの謎 〜A question of JiJi〜

「うどんかそば!」

 

綺麗な装飾が施されたドアを開けるやいなや,初老の男性が注文を告げた。海辺のカフェで優雅なコーヒーを楽しんでいた我々も,お洒落なエプロンに身を包んだ店員もあっけに取られるばかりであった。そう,ここは,どこまでも藍い太平洋を臨む、泣く子も黙るお洒落カフェなのだ。そんなカフェでメニューも見ずにジジイは「うどんかそば」を求めたが,当然お洒落カフェにはうどんもそばも無かった。店員は戸惑いながらもギリギリ存在した焼きそばを勧め,事なきを得ようとした。ジジイは激高することも落胆することもなく,勧められるがままに焼きそばを注文していたが,その様子を見て,私はこれまでのジジイの生活スタイルについて思いを馳せざるを得なかった。きっとこのジジイは,これまで場所や時期に合わせて自分を調整するのではなく,今回のように周りの環境を変えさせて生活してきたのだろう。かつて仮面ライダーカブトという作品で主人公天道総司は,「世界は自分を中心に回っていると考えたほうが楽しい」と言っていたが,間違いなくそのジジイは自分を中心とした超高速スピンをしていただろう。そう思った刹那,突然視界がぐらついた。高速で回る強烈な渦に巻き込まれたように・・・濁流の中でジジイを見ると,ジジイは軽やかにジャズが流れる店内で,爆音で演歌を再生しだしたのだ。

 

ジャズと演歌という、奇妙なコントラストはまるでオムライスの上に赤貝を載せたような居心地の悪さを醸し出し、店内の我々は押し黙った。ここで、読者諸君の中には「ハイハイ、よくあるクレイジージジイシリーズだろ」と思われた方もいるかもしれない。確かに、携帯ラジオを片手にストリートスタイルで演歌を垂れ流していたら、私もどこの駅にも1人はいる少し変わったジジイ程度にしか思わなかっただろう。しかし、今回はある不可解な謎があったので、普通の変わり者ジジイではないと考えられる。

 

 

それは、ジジイがスマートフォンで演歌を垂れ流していたことである。

 

 

仮に携帯ラジオで演歌を垂れ流していたとしたら、そのジジイはイヤホンやヘッドホンという存在を知らず、音楽は垂れ流すものという認識しかなかったと結論づけられるかもしれない。しかし、スマートフォンとなると話は別である。なぜなら、スマートフォンから演歌を流すためには、

 

1.CDからインポートする

2.YouTubeや有線放送から演歌を流す

 

の2通り以外ほぼ考えられないからだ。そうなると謎は、それほどのインターネットリテラシーをもつ人物が果たしてイヤホンを知らないのか、ということである。理論上は可能かもしれないが、現実的な話ではない。それはまるで、パチンコ屋の隣にたまたま玉を換金したがる業者ができたくらい不自然なのである。

 

では、イヤホンを知っていると考えられるのになぜ、ジジイは演歌を垂れ流したのか。

 

私は深く頭を悩ませた。何かの暗号メッセージか?洗脳された我々から目を覚まさせるために奮闘しているのか?それとも....?

 

ただの変わり者ジジイではないことは確かだが、どうしても答えは見つけられなかった。悶々と頭を悩ませていると、ジジイはおもむろに立ち上がりトイレに向かった。その店は男子トイレと女子トイレの扉が横並びになっている仕様で、それぞれの扉にはフェミニストが批判しそうなほどわかりやすい男女のピクトグラムと「男性」、「女性」という文字まであった。ジジイは女子トイレの前に立ち、指差して確認をした後「ヨシッ」と言って女子トイレに入っていった。

 

ただの変わり者スケベカスジジイだった。