極寒のアメリカから逃げるように1週間ほどメキシコに行った。メキシコは1月にも関わらず非常に暖かく、久しぶりに半袖を着て街を歩くことに喜びを感じていた。料理は安くて美味いし、人もみんな親切で嬉しかった。
さて、そんなメキシコでアイスクリーム屋さんに行ったところ、イナズマイレブンの豪炎寺修也もビックリの凄腕プレイヤーに遭遇した。その店員は、働き方改革と言った作られた労働の概念をファイアトルネードで吹っ飛ばしてしまうようなポテンシャルを持った人だった。
そのお店ではサンプルを配っていた。別の店員の人が新作を勧めてくれたので、ありがたく頂戴した。そして、サンプルをもらった後どのアイスにするかその店員の人と相談していると、件の店員がサンプルを持って近づいてきた。彼女は快くサンプルを勧めてくれたが、ついさっき頂いたばかりなので丁重にお断りした。すると、昭和アニメのトホホみたいなジェスチャーをした後、おもむろにサンプルを食べ始めた。
(昭和アニメのトホホ)
私は少しの狼狽を禁じ得なかった。確かに使われなかったサンプルをゴミ箱にほかってしまうよりは、幾分か良いとは思う。しかし、これほどまでに何の躊躇もなく口に含んでニッコリされると、なぜか「美味しくて良かったね...!」という複雑な安心感に包まれて、困惑するばかりである。
そのアイスクリーム屋さんはベースとなるアイスを選んだ後、好きなトッピングを好きなだけかけられる方式だった。少しビックリではあるが、チリパウダーをかけると美味いと現地の友達が教えてくれたので、チリパウダーをかけてもらうことにした。もちろんチリパウダーはアクセントに過ぎないので、1ティースプーンもあれば十分と予想された。すると、彼女は底なしのホスピタリティにより、山盛りのチリパウダーでもてなしてくれた。アイスクリームはたちまち紅色(Kurenai)に染まった。その赤は豪炎寺修也の必殺技、爆熱ストームを彷彿とさせた。
案の定、アイスクリームはただ辛く、底に溜まったチリパウダーを見ると、アイスクリームのチリパウダーがけを食べているのか、チリパウダーのアイスクリームがけを食べているのか分からなくなった。まあ、こういった小さなToLOVEるも旅の醍醐味だなと思い、帰りにありがとうと言って帰ろうとした。
すると、
カウンターで死ぬほどくつろいでいたので,邪魔しちゃいけないと思い無言で帰った。それはちょうど豪炎寺がエイリア学園を前にして無言で雷門中を去った時のように。