漫画でザコキャラが調子こいている時に突然強力な攻撃を受け,慣性の法則でしばらく調子をこき続けるも,その後痛みで苦しむシーンを体験した。

タイトルの通りである。長すぎて申し訳ないが,これ以外の表現が見つからなかった。

絵で表すとこのような感じである。

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漫画でザコキャラが調子こいている時に突然強力な攻撃を受け,慣性の法則でしばらく調子をこき続けるも,その後痛みで苦しむシーン

 

 

この場面が現実で起こったのは,アメリカで受けた授業でのグループプロジェクトの時であった。そのプロジェクトは,授業の内容を元に作ったビデオをYoutubeにアップし,どれだけの人に見てもらえるかを競うようなものだった。ビデオの視聴回数によってグループワークの点数が加算されるため,みんな少しでも点数を稼ごうとFacebookTwitterを駆使して視聴を呼び掛けていた。ちなみに,このプロジェクトは毎年行われているらしく,だいたい100回視聴が毎年の平均でのようであった。

 

 

 

プロジェクトが終了し,成果を報告する最終プレゼンがあった。

 

 

 

1つめのグループはSNSを駆使しして,150回程度の視聴数であった。ビデオも軽快なジョークが織り交ぜられており,みんな笑顔で拍手を送った。続く他のグループ達もだいたい100~150回再生くらいで,抜きつ抜かれつの平和な争いをしていた。

 

 

そして我々のグループの番になった。我々は196回とこれまでのどのグループよりも,再生回数が多かった。持てる限りの裏アカウントを使って連打しまくるなど,若干の不正行為はあったかもしれないが,勝てば則ち正義となるのだ。発表を終え,勝ち誇った顔で席に着いた。その後もいくつかのグループの発表があったが,どれも我々の記録には届かなかった。私は口角が卑しく上がることを禁じえなかった。うひょひょ~この勝負もらったでヤンス^^(笑)!!

 

 

そして,最終のグループになった。そのグループはいつもスマホでチャットをしているアメフトバカと,その隣でひたすらゲームをしているギャングバカで構成された問題児グループだった。

 

彼らの作ったビデオは,画質が終わっているフリー画像にダルそうな声を当てているだけのもので,他のグループのものとは比べ物にならないほど酷かった。

 

 

やれやれ。このクオリティから考えるに,こいつらは成績をあげることに1ミリも興味はなく,パスさえすれば良いと思っているのだろう。全く情けない話だなあ!おい!え^^?こら!悔しかったらなんか言ってみろよ^^!!www

 

 

そして,ダルそうに進んだプレゼンは再生回数を報告するセクションに入った。ってか,ちょっとプレゼン長すぎるカナ( ̄▽ ̄;)?おじさんちょっと疲れちゃったヨ(;^_^A

 

彼らはダルそうな声でトゥーサウザウンドエイトハンドレッドシックスティーと言っていた。もっと腹から声だした方がいいよ(*^^*)!!聞こえないよ(*^^*)!

 

そして,彼らの再生回数を集める工夫はというと,SNSと並行しt・・・・・ぐぼぼぼぼぼぼぼぼぉぉぉぉ!!!!!な,なんだぁ!?攻撃をっ!攻撃を受けているぞぉぉ!!

 

今,何と言った?トゥーサウザウンドエイトハンドレッドシックスティー??つまり,2860回っ!!??桁がちげぇじゃねぇか!!今までみんなが可愛らしく100150回をウロウロしていたのに,急に2860!?!?オペペペ!?!?あれぇ?おかしぃぞぉ?!?

 

 

動揺を隠せないのは自分だけではなかった。他のみんなも目の前の途方もない攻撃力に理解が追い付かず,「oh...」としか言えてなかった。先生も先生で,この桁の数は想定していなかったため狼狽していた。と言うのも,先生は10回再生ごとに1pt成績に追加すると言っていたのだ。つまり,平均である100回再生なら10ptとなるため,定期テストの配点である125ptから考えると,10ptの追加は妥当である。しかし,2860ともなると,そのポイントは286ptとなってしまい,中間試験と期末試験の両方で満点(250pt)を取ったとしても,このクソビデオには勝てないのだ。この瞬間,いつもスマホでクラッシュ・オブ・クランをしているギャング達が最高評価を取ることが決まってしまったのだっ...!

 

 

では,どのようにして素人ビデオバトルでこのような再生回数を稼いだのだろうか?アメフト部やギャング仲間に呼びかけたとしても,さすがに2860人にはならないだろう。彼らの視聴回数をかせぐアイデアは我々と違った。私たちのグループを含む他のグループの作戦が,自らの友人で構成されるSNSのネットワークに呼びかけるものであったのに対し,彼らのグループは,地元コミュニティの掲示板に張り付け,視聴を呼び掛けるものであった。

 

 

ここで,補足をしておくと,アメリカの地元大学の愛,とくに大学のフットボールチームに対する愛は日本のそれと違う。その辺のおばちゃんも大学のTシャツを日常の普段着として着ているし,結構良い車のはずのマスタングにも何のためらいもなく大学のステッカーが貼ってあったりするのだ。

 

 

例えるならば,帝京平成大学千葉キャンパスを擁する千葉県の老若男女ほぼ全員が帝京魂と書いたTシャツを日常的に着ていて,帝京平成大学カバディチームの応援には,千葉県中から「帝京のココがすごい!」というステッカーを貼ったレクサスで応援に駆け付けるような世界だ。

 

そのような世界で,応援しているフットボールチームから「動画見てね」という書き込みがあれば,どんなカス動画だったとしてもみんな一心不乱に見るだろう。チンをした業務用冷凍ポテトもアイドルの写真をパッケジーに載せればたちまちミリオンヒットなのだ。

 

 

結局,あの場において自分は,「不正をして,ぬか喜びして,そして殺される」という漫画の第2話で殺される小物ザコのような役割であった。かつてシェイクスピアは「この世界は舞台であり,すべての男女はそれぞれの舞台に登場して,そして退場していく」みたいなことを言っていた。しかし,自分は本当にこの役しかもらえなかったのでしょうか......?これではあまりにも不名誉だ。一応,自分にだってプライドはある。

 

 

次はせめて,「第4話で,目先の小金のために仲間を裏切ってアジトまで逃げ切るものの,裏切りを許さない強キャラに惨殺されるクズ」くらいには昇格させていただきたい。