七つの大便

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人間とは不思議な生き物である。高度な知能や技術を持ちながらも,究極的には動物的な判断に頼らざるを得ない。主に生存本能に起因するものが多いと思われ,例えば自分に危害を加える可能性がある対象から本能で逃げ出すというものがる。シマウマがライオンを一目見た時に「こいつには勝てない」と思い,逃げ出すように・・・

 

私は京都のイオンにいた。そのイオンの1階では地元の園児が描いた絵の展覧会が催されていた。どれものびのびと描かれており,まるで彼らの自由な気持ちを代弁するような絵ばかりで,楽しみながら観覧をしていた。すると,6歳くらいの元気な男の子と晴れやかな服装に身を包んだ母親(馬場ふみかに似てた)が入ってきた。男の子くらいの年から見ると園児の絵はひどく幼稚に見えたのであろう。「え?これは『絵』なん?ww」と煽りながら見ているようだった。とても6歳児とは思えない煽りスキルと皮肉である。その後次々と絵を指さし,「これも,これも,これも『絵』なん?ww」と煽りのパレードをし,母親はやや呆れた様子であった。そして,そのパレードの終着地点,つまり展覧会の終わりまでその煽りを続けた後,「これも『絵』なん?ww」と示した先には園児の集合写真があった。キッズが「まるで写真みたいやな」と言った時,私は思わず逃げ出してしまった。そう,「こいつには勝てない」と思ったのだ。

 

走りながら私は必死に祈った。「神様,私の汚らわしきダークソウルを浄化してください!」と。私は,愛知で生まれ育ち,持ち前のキラリと光るスキルでオモシロ人間として活躍してきたつもりであった。しかし,それは所詮,愛知というとてもとても狭い井の中でのことであり,お笑いの本場関西では,6歳児にすら勝てなかったのである。6歳児があのレベルの皮肉センスと「オチ」まで用意できたにも関わらず,私はと言えば,22歳になった今でも「うんこ」か「うんち」が最大のオモシロシグナルとして機能しているような分別もつかぬ青いガキなのだ。

 

私は逃げた。とにかく逃げた。なぜ逃げているのか?もうこれは理屈ではない。本能なのだ。6歳児の圧倒的センスはまるで水戸黄門の印籠のように有無を言わさぬ力があり,私は思わず逃げ出してしまったのだ。無我夢中で走り続け,息も絶え絶えに京都駅に着いた。上がり切った息を整えながら,名古屋までの運賃を支払い切符を買った。新幹線のホームに立つ頃には,汗も引き始めてきた。そして,同時に思わず逃げ出してしまった自分を恥ずかしく思った。せめて帰る前に自分と言うオモシロ人間を京都という土地に刻み込みたかった。私は脳をフル回転し,自身が持てる最大限のオモシロワードをひねり出してつぶやいた。「うんち!」。

 

ーーーー(この記事には「」内のうんこ(うんち)を除き,7つの「うんこ(うんち)」に関するワードがあるぞ!キミは全部見つけられるか??)------