【連載】 第1話 チョロい男と可愛い店員

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このシリーズは現在進行形で私の身に起こっているしょうもないことを連載形式で述べる(つもりの)ものである。

 

話は遡ること,3年ほど前・・当時,大学に入学して浮かれていた私は自身が笑えない程モテないことに気が付いた。花のキャンパスライフとは真逆の鈍色の大学生活だった。そこで,プライドを全てドブに捨て,「私はなぜモテないのでしょうか」と真顔で友達に相談した。その友人はいつも「キモ」,「ウザ」,「クソ」と二文字以上で会話できないような人物であったが,私のこれまでにない真剣さに心を打たれたのであろう,改まった表情でアドバイスをくれた。曰く,「お前は女から見ると『チョロく』見える。ちょっと優しくしたら速攻で私のこと好きになるだろうなって思えるから,そんなチョロい男は全然魅力的に映らないよ」と普通にアドバイスをくれた。

 

ありがたいアドバイスを受けて,私は激昂した。なぜなら気に食わなかったからである。自らアドバイスを仰いでおいても気に食わないものだったら全力で否定するのが俺のSTYLE(生き方)だ。「ちょ,ちょ,チョロくなんかないわ!!!!」とザコキャラのようなセリフを残し,部屋を飛び出た。「お前はチョロい」という耳に残った言葉をかき消すために華やいだ街を全力で駆け抜けた。そう,俺様はチョロくなんて・・・ないんだ・・・・!!

 

そして,時は戻り,現在(2020年6月)。コロナによる外出自粛も徐々に緩和され,以前のように外食に行くことができるようになってきた。たまたま集中して行いたい作業があったので,普段は行かない少し離れた喫茶店に入った。カランコロンと軽快に扉が空いた。入口に設置してある除菌スプレーを手に馴染ませ,ふと目を上げると,まぁまぁ可愛い店員がいた。まぁまぁ可愛いなと思い席に着くと,まぁまぁ可愛い店員が注文を聞きに来てくれた。まぁまぁ可愛い店員は,結構可愛い声で注文を取り,その後,結構可愛い店員はコーヒーを持ってきてくれた。結構可愛い店員はコーヒーを机に置き,かなり可愛い店員が砂糖ミルクはいるかと尋ねてきたので,「いらない」と可愛い店員に返した。

 

そして,1時間ほど滞在した後,会計をお願いすると,どうやらこのご時世に珍しい現金専用のお店だった。私の財布は以下のようなもので,

 

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ぴったり払える小銭がないため必然的にお釣りが生じてしまう。紙幣で支払いをすると,可愛い店員はお釣りとしていくつかの小銭を

 

 

 

 

 

 

私の手をがっしりと握りながら渡してきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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どくん・・・

 

エヴァンゲリオンみたいなエフェクトが入るのを感じた。非接触が叫ばれるこのご時世に濃厚接触?!・・なぜ・・・ってゆーか・・・

 

 

 

 

 

 

 

めっさ,可愛いいやんけ・・・・

 

 

 

 

 

 

そう,俺は死ぬほどチョロい男だったのである。やっぱりあの友人のアドバイスは正しかったのだ。

 

カランコロンと軽快な音を立て扉がしまる。いや,これは後に続く波乱の警戒だったかもしれない。そんなこともつゆ知らず,間抜けな顔で「また来よう」と誓う私であった。

 

つづく・・・