「第1話」
「かんたんなあらすじ」
ちょろいと言われた私は,喫茶店で手を握られ簡単に恋に堕ちた。
「第2話 新たな刺客登場・・!?」
こもった熱と安い芳香剤の香りがブレンドし,不快感に満ちた車内に地元の友人を無理やり押し込めた。友人を誘拐し,件の喫茶店に向かうところである。前回のこともあり,なんとなく一人で行くのがこっ恥ずかしくなったのである。喫茶店は車で20分ほど離れた中々な距離にあるため,途中いくつもの喫茶店をスルーすることになる。友人のじっとりとしたドン引き視線は交差点に置き去り,私は健気に車を走らせ目的の喫茶店まで向かった。15個の喫茶店を横目にしたころ,ようやく到着した。しっかりとセットした髪を入念にルームミラーで確認し,仰々しく店の扉を開いた。
大乱闘スマッシュブラザーズ64で鍛えた驚異的な動体視力で,店内を一瞬でスキャンしたが,残念ながらこの日に件の店員はいなかった。あの娘がいないならもう帰ってしまおうかと思ったが,せっかくここまでついてきてくれた友人に示しがつかなかったので,しかたなく一杯やることにした。
対応してくれたのは,私(22歳)よりも2周くらい干支が回っている淑女だった。伝票をテーブルに置く彼女の手からは長い経験と苦労が刻み込まれていることを感じさせた。友人と好きなツナの話(ちなみに私は横綱)など他愛ない話をした後,店を出ることにした。レジには,先ほどの淑女がいらっしゃった。
私は前回と同じように絶対お釣りが生じる財布からお会計を支払った。
(絶対お釣りが生じる財布)
淑女は私が支払った紙幣を受け取り,いくつかのお釣りを
私の手をがっしりと握りながら渡してきた。
どくん・・・
とエヴァンゲリオンみたいなエフェクトが入るのを感じた。え・・ちょっ・・・淑女・・?!非接触が叫ばれるこのご時世に濃厚接触?!・・なぜ?・・・まさか・・
淑女・・・参戦っ!?(イメージ画像)
現時点で考えられる案は大きく分けて2つである。
1つ目は,元々この店のマニュアルでお釣りを渡す時にはお客様の手をがっしりと握って渡す,ということになっている。
2つ目は,前回の可愛い店員,今回の淑女共に,この私を堕としにきているということ
1つ目の案は,非接触が叫ばれる現在の社会情勢を鑑みると考えにくいので,2つ目の案の妥当性が非常に高い。
手のひらに残るぬくもりを感じながら,「また来よう」と誓うチョロい私であった。
つづく・・・