女子高生に手を出さないと誓ったら2000円もらった話

 

大学2年の時,友達の紹介で塾講師のアルバイト面接に行った。友達の紹介ということもあり,学力チェックも素行調査もほぼなく,形式上の面接は2分ほどで終わった。そしていざ契約の段取りとなった時に,面接官はネクタイを締めなおし,引き締まった顔で話し始めた。

 

女子生徒には絶対手を出すな

 

グレーは全てブラック、疑わしきは殺す、お前の人権は知らん女子高生が黒といったら直ちに殺すなど,細部に渡る説明は実に58分にも及び,1時間の面接は,ほとんど女子高生に手を出してはいけない説明で終了した。さんざん説明は受けたものの,スケジュールが合わず一度も働かなかった。そして後日,今回の面接1時間分の給与から所得税を引かれた小銭がひっそりと振り込まれていた。そう,これは実質女子高生に手を出してはいけないという説明を聞いただけで得た収入である。私は何とも言えない気持ちになり,その小銭でToLoveるダークネスを買った。

 

そして時は流れ,大学4年時。日本一周旅行の資金集めのため,二か月間という短期間で稼げるバイトを探していた。そんな時,有名個別塾の求人欄に「一ヶ月からでもOK!」という魅力的な文句が目に入った。これは都合がよいと思い,早速面接を受けに行った。学力テストでは英検5級所有と言う知能を活かしなんなく突破,面接では直前に確認したyahoo知恵袋のベストアンサーをコピペした,学ぶ楽しさを伝えたいとか適当に言って突破。そしていよいよ契約の算段となった時に,面接官はネクタイを締めなおし,引き締まった顔で話し始めた。

 

 

女子生徒には絶対手を出すな

 

また来たのか・・と,狼狽を禁じえなかった。面接官はメガネの奥の眼光を光らせ,「キミ,若いからね。女子高生に人気でそうだけど,大丈夫かな」と嫌味ったらしく尋ねてきた。とっさに「女子高生よりも熟女の方が好きなので大丈夫です!」と答えようとしたが,このアンサーは末吉と出るか大凶と出るかのどちらに転んでも得をしないというカス期待値だったので,男らしくぐっとこらえた。

 

その後,「一ヶ月からでもOK!」という文句はタテマエであったことが発覚し,2か月経ったら日本一周をすると言ったら,「あ,自分探し?(笑)まぁがんばって(笑)二か月だけでもいいっていう生徒さんがいたら絶対連絡するね(笑)絶対おらんと思うけどwww」と嘲笑され,予想通り電話は沈黙を貫いた。後日,今回の面接代として1000円分のAmazonギフトコードが送られた。つまり,これも女子高生に手を出さないと誓っただけで得られたお金である。私はそのお金でToLoveるダークネスを買った。

 

 

怒れる老害

B'z Official Website

先日ついにBzが音楽ストリーミングサービスに参入し、全てのシングル・アルバムが聞けるようになった。元々全てのCDは持ってるので、新しい曲が聞けるようになったというわけではないが、ファンとしてはやはり嬉しい。しかし、同時に少しの寂しさも感じるのである。それは、今後すべての新シングル・アルバムを店で買ってCD聞く必要がなくなってしまったからだ。

 

(令和生まれのガキ)「し、C〜D?おっさん、カラスよけの円盤を有難がって買ってんの?www」 

 

だ、だまれ!!///

 

「今は月にコーヒー1杯分の値段払えば世界中のどんな音楽も好きなだけ聞けるストリーミングっていうのがあんの、わかる?ww」

 

う、うるせぇ!!wikipedia見てぇなこと言いやがって!!おれもapple musicには登録しているし、便利さは知っている!しかし、もうCDを買ってワクワクして帰る体験や、プレイリストじゃなくて、一枚のアルバムを擦り切れるまで聞きまくるという体験ができないのが悲しいのだ。

 

「は?体験するだけなら、CD買えばいいじゃない?それに、ストリーミングでもアルバムだけ聞くことはできるだろ?(普通に正論)」

 

オラオラオラオラ!!!!!(ボコボコにする音)

 

(ボコボコの令和ガキ)「ッ?!」

 

こぶしがあち〜〜ぜ!!

 

「ぐふぅ・・・これだから平成生まれのおっさんは・・正論を言ったらすぐに暴力で解決しようとする・・おまけにクソパクリ漫画のセリフを決めゼリフにすんなよな・・ほんとダセェわ・・」

 

・・・!?(なぜ知っている??)さ、さっきから、うるせぇんだよ!!最近の若者は正論ばっかいいやがって!「情熱」がねぇんだよ!!3000円ってのは、てめぇらが有難がってすすってる雰囲気コーヒーじゃ換算できない「重み」があるんだよ!!だから、絶対に元を取りたいと思って、大して好きでもない曲がアルバムの中に入ってても「根性」で聞きまくって、やがて気に入りだしたり、アルバムを聞きまくってた時期を後から思い出して、「あ〜この曲はあの空気を思い出すな〜^^」とか振り返りたいんだよ!!

 

「『情熱』?『重み』?『根性』・・・?さっきから話が抽象的なんだよな〜普通に考えてCD買いに行ったり、違う曲聞くためにCD入れ替えたりするの非効率じゃない?意味のないことに時間とお金を使うのって、消費じゃなくて浪費でしょ?」

 

きょええええ!!(ボゴォ!!)

 

「ッ・・・・・・」

 

お前ら・・!(ボゴォ)自分のことしか考えずによぉ!!(ボゴぉ!)漫画だって・・なんか違法サイトで読んでるし・・・!!(ボゴォ)映画も10分でまとめたヤツみて、知った気になっててよぉ・・・!(ボゴォ)てめぇらの世代がカルチャーを楽しむことから消費するものに変えたんじゃねぇか・・!!何が効率だ・・!そもそもカルチャーってのはそんなもんじゃねぇだろ!くらえ!エターナルファランクス!!(ドゴォ!)

 

「ハハ・・クロスハンターの次はダブルクロスハンターですかい・・・」

 

なっ・・・!?お前・・・!なぜ、さっきからそんな平成の遺物みたいなニッチなネタを知っているんだ・・・!?

 

「おっさん、勘違いしないでくれよな・・俺らは別に昔の文化を否定しているわけじゃねんだわ。むしろ、リスペクトしてる。最新式のカルチャーだって、これまでの膨大なカルチャーの上に成り立っている。だから、俺らは尊敬を込めて昔のカルチャーをサンプリングするし、そのためにたくさんの情報を効率よく仕入れたいと思っている。」

 

令和・・・・

 

「おっさんはただ戸惑っているだけなんだ。これまでは自分が時代の最先端を走っていたのに、新しい世代が来て、自分の居場所がなくなってしまったように感じてるんだ。そんな時、人は得てして「ロウガイ」というスキルを発揮するんだ。新しい世代のあら探しをすることで、自分の正当性を確かめ、再び時代のスポットライトを自分に向けさせようとするんだよ。」

 

その時、DachimiNに電流走る。

 

彼は若かりしころ自分が受けたロウガイを反芻し始めた・・・。

 

(ジジイ)「だから!!!手書きじゃなきゃ思いは伝わらんじゃろ!!メールで用事を済ますんじゃない!!それから、ココとココとココにハンコ押さんかい!!」

 

は〜〜?なんでわざわざ紙に書かないといけないんですか?紙の無駄だし、手書きなら思いが伝わるなんて根拠ないじゃないですか!!ハンコなんて形骸化した承認踏むほうが時間かかるし、結局僕が違う人のハンコ押してるんじゃ意味ないですよ!!

 

「うるせぇ!!そこは『誠意』じゃ!!」

 

(ババア)「だから!!!不正利用されるかもしれないし、実際に自分の財布からお金を出さないと、使いすぎちゃうじゃない!!」

 

いやいや、現金ならなくしたらそれで終わりですけど、クレカならすぐに止めれば損失ないですし、ATMにおろしに行く時間もなくせるんですよ?それに、使いすぎるのだって、不要なものを買わないように自分で判断すればいいだけじゃないですか!

 

「キィーー!これだから、最近の若いもんは!!世の中『正論』だけじゃないのよ!!」

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

そうか、みんな意地になってただけなんだ・・怒る対象は別になんでもよくて、自分の存在意義を確かめるために、自分はここにいるんだって産声を上げるように怒ってただけなんだ。

 

(令和少年)「そう、生きるというのは呼吸して存在していることではありません。社会に、他の人に存在が認められて初めて生きていると言えるのです。そう考えると、人が生きたいと願う強い思いを誰が否定できましょうか。ロウガイのみなさんは生理的反応で怒っているのではありません。皆、ただ生きたいという花のように純粋な願いのために怒っているだけなのです。そう考えると、ロウガイにも優しくなれそうじゃないですか?」

 

へへ・・全く、こいつは一本とられましたよ。若い奴らは全員カスだと思ってけど、すごくしっかりした考えをもってるじゃないか。やっぱりこれからの時代を作ってのは老害の俺じゃなくて、若者なんだよな。

 

「そうすよ!!!やっぱ若者しか勝たん!wwてかさ、さっきめっさ殴られてまじぴえんって感じすよ、オッサンあたおかすか?!wwここらでよいちょまるしときたいんで、全然知らない0年代ラップのremixに合わせてやりらふぃ〜的な動画ほんとすこなtiktokにアップしてもろていいすか?wwwはにゃ?www

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こぶしがあち〜〜ぜ!!!(笑)

 

わかってしまったこと

ラチェット&クランクというゲームがとても好きで、小学生のころから通算500周くらいはクリアしている。23歳になり就職した現在も、他にやることもないので、ひたすら周回プレイをしている。

 

さて、そんなラチェット&クランクの3作品目、ラチェット&クランク3では、裏技コードを使うと、「サルゲッチュ」というゲームのキャラクター、「ピポサル」を使用することができる。

Ape Escape 2 - Twitch

サルゲッチュ

 

「ピポサル」はパンツの色で特性が変わるという特徴があり、(例えば水色パンツはおとなしいとか、赤パンツは攻撃性が高いといった具合)、そういったサルの特徴が魅力の一つなのだが、やはりなんといってもメインキャラクターは黄パンツのピポサル(ノーマル特性)であろう。サルを捕まえる主人公は知らないけど、黄パンツをはいたピポサルはイメージできる人も多いのではないだろうか(ちょうどバカボンよりもバカボンのパパの方が有名になったように)

 

それ故に、他作品とコラボレーションするときはサルゲッチュ代表として、黄パンツのピポサルがアンバサダーを務めることが多い。Ape Escape Makes Its Appearance in Everybody's Golf Mobile AppMetal Gear Solid 3 Snake Eater & Ape Escape Crossover Promotion | Sticker |  Magnet | Poster" Poster by OuterOutlet | Redbubble

 

そして、話は冒頭に戻るが、ラチェット&クランクでもピポサルが使えるとなると、必然的に黄パンツをイメージする。しかし、実際、裏技コードを使って出現するピポサルは、

 

f:id:yaitaonigiri:20210503215621j:image

死角外からの青色パンツなのだ。

 

 

青パンツは足が速いという特性ではあるが、作品の中で特別人気があるわけでもない。また、青パンツは同じくタレ目で色の系統も似ている水色パンツと差別化するために、基本的にはゴーグルをつけているため、ゴーグルなしの青パンツはどちらかというとレアなケースなのである。

 

そういった点から、なぜわざわざ青パンツのピポサルなんだろうとずっと疑問に思っていたが、小学生だった自分は難しいことを考えるとお腹が空いちゃったので、特に気にせずゲームを続けていた。そして、23歳のゴールデンウィーク。通算501周目のプレイをしていたとき、唐突にひらめいてしまった。

 

おそらく結論は、「批判を避けるため」であろう。

 

どういうことかというと、このラチェット&クランクはアメリカ発のゲームである。そして、サルゲッチュは日本発のゲームである。しかしながら、日本国内では、コロコロコミックの精鋭マーケティング部の力によって、夏商戦は「サルゲッチュ」、冬商戦は「ラチェット&クランク」というプランニングができたので、小学生にしてみれば、同じ規模感のゲームと認知させることができたのである。一方、アメリカでは、同じようなマーケティングは実施していなかったので、アメリカユーザーのサルゲッチュに対する認知度は、日本ユーザーが外資のラチェット&クランクに抱く認知度と同等とは言えなかったと考えられる。故に、ピポサルというキャラクターをそもそも知らないというユーザーが多く、そんなユーザーが裏技コードを使った結果、黄色のパンツを履いたサルがでてきたらどう思うだろうか。イエロー モンキー、ということからレイシズム的な発想と誤解してしまう可能性があるのではないか。

 

これを避けるために、黄色以外の色に変更する必要があるが、たかや ar Twitter: “「ピポサル」のコスプレ… ”

この顔のまま違う色のパンツに変更することはできない。というのも、このサルの顔に対応するパンツは黄色のみ(一応、一作目では白パンツも同じ顔だが、それ以降メガネキャラになったため、コアなファンしか納得できないため不可)であり、あとは、

ピポサルのTwitterイラスト検索結果。

ツリ目、メガネ、サングラスなど、隠しキャラとして開放するには、少々華がない奴らばかりになってしまう。そこで消去法として、タレ目が選ばれたが、水色パンツは、臆病、おとなしいという消極的な特性があるので、こちらもまた隠しキャラには向かない。そこで、一応ゴーグルなしのタレ目verもある青パンツを採用した、という経緯ではないだろうか?

 

確証こそないものの、理論的には私の推測は正しそうである。幼少期の疑問は今、「わかってしまった」のである。この推測には、人種問題に対する知識、ユーザー目線で考える他者視点、論理的思考力など、幼少期にはなかった種々の能力が必要であり、年月を重ねるほどにそれらの能力を体得していって「わかっていく」のであろう。こういった物事を理解する過程は、なぞが解けた!という快感よりも、そういうものだったのか、という一種の失望や寂しさのような面の方が大きい。

 

今回の例で言えば、幼少期にとっては、無限の宇宙を冒険するような気持ちでプレイしていたゲームも、人が人のために作ったものという当たり前の事実がわかってしまった。恋愛の例で言えば、相手の思惑とか、こういう動機でこういう行動をしているんだなと「わかってしまう」と途端に冷めてしまう傾向にある。

 

こういったことを主張すると、お前は「わかった」気になっているだけ。本当は、お前は何も「わかっていない」、とソクラテスのようなことを言ってくるかもしれないが、私は別に真実を知ったつもりでいるわけではないのだ。つまり、それが正しくても正しくなくても、自分の中の思考プロセスで説明できてしまったら、もうそれで悲しさを覚えるのである。だから、本当のことなんてそもそもなくて、自分がそう思ったらそれが自分にとっての世界なのだ。

 

例えば、カツ丼を美味しそうに頬張る女の子を見ても、別にカツ丼が好きだとか、ここが有名なカツ丼屋さんだから食べてるんだ、ではなく、この子はカツ丼に親を殺されたから腹いせに食い殺しているのだ、と思考プロセスを踏めてしまえばそれは自分の中では「わかったこと」になるのである。このメチャクチャなプロセスだけをみれば、こいつは頭がおかしい人だなと納得できるかもしれないが、では、各々の思考プロセスが果たして異常ではないと果たして言い切れるだろうか。もしかしたら、カツ丼を頬張る真意は本当に親の仇だったかもしれないし、美味しいから美味しいものを食べるという因果関係プロセスを思ってるのは実は自分だけで、他の人はみんなまずいから食べるという思考を持っている可能性も否定しきれない。

 

ごちゃごちゃ書いてしまったので、まとめると、自分はなにかを「わかった」ときに、虚しさを感じる。そして、その「わかる」ことは、真実である必要はなく、自分の世界で完結してしまうプロセスなのである。側から見れば世界を「わかった」気でいるイタイ奴に見えるかもしれない。しかし、それでもなにかを「わかって」しまうことで、1つ1つ持ち物を捨てている感覚になってしまう。結局今回何が言いたかったのかはわからないが、ただ1つわかったことは、こういった気持ちは誰とも共有できないことである。

重複しても早急に慮る

記事のタイトルを何と読んだだろうか。

 

 

 

重複(じゅうふく)しても早急(そうきゅう)に慮る(おもんばかる)?

 

 

 

一応、間違いではないが、正しくは、

 

重複(ちょうふく)しても早急(さっきゅう)に慮る(おもんぱかる

 

だと思う。自分自身も言語学者ではないから、本当に正しい由来とかまでは分からないが、一般的に後者が本来の読み方で、前者が誤用が広まり慣習読みになったものと思われる。そして私は、慣習読みをしながらも偉そうな口を叩くジジィがすげぇ嫌いだ。

 

「キミねぇ〜このデータ重複(じゅうふく)しちゃってるよぉ?こんなんじゃ社会人として失格だよ??」

 

 

っ!!!!社会人として終わってんのはてめぇの方だろうが!!無理して難しい言葉使って説教たれてんじゃねぇよ!弱く見えるぞ??

 

 

このように私が原作厨のようにオリジナルを指摘すると、社会を知った気になっている中学生は、

 

「言語や文化とは絶対的に存在しているものではなく、その時代に合わせて変化するもの(笑)今だって誰も〜ナリとか言わないっしょ??(笑)そんなに熱くなんなよなオッサンw」

 

と言ってくるが、そんなのクソくらえだ。

じゃあお前は、時代が変わって「おはよう」が「おちんぽピカピカ侍」と発音するようになっても絶対そのように言うんだな??約束したかんな??あと、コロ助は未だに〜ナリって言うから!はい、論破!!

 

別に無理して昔の言葉を使えと主張しているわけではないし、正しいもの以外は全て悪というラスボス的な思想があるわけではない。ただ、正しい言葉を注意して使っている人を見ると非常に思慮深い人だなと密かに関心するだけである。

 

かつてナポレオンは「人はその制服通りの人になる」といった。これは、服装(あるいはその役職)によってその人物の人間性が規定されるということだが、人にメッセージを伝えたり、状況によって使い分けたりする点で、言葉は服装と似ていると思う。つまり、言葉は心の服装なのだ。正しい言葉遣いをすれば自然と正しい心を持つことができる。その点で、汚い言葉や誤った言葉を使うということは、ボロボロの服、極論を言えば全裸(全裸とはおちんちんが丸出しの状態のことである)で人に会うのと同義である。そう思うと、私自身はうる覚えの言葉はすべからく使うのをやめて、少々不安で役不足にも感じるが、一生懸命正しい言葉を使っていきたいと思うのである。

『いいよ』

バイト先に身長187cmの海坊主みたいな怖いおっさんがいるのだが,その人は口癖のように「~していいよ」と言う。

 

それ持って行っていいよ

 

コショウかけていいよ

 

モップの裏も舐めていいよ

 

 

上記のような文脈なら特段違和感もないように思われるが,時として心に何か引っかかるような場面もある。

 

掃除していいよ

 

この書類チェックしていいよ

 

あの仕事もやっといていいよ

 

きっとこの違和感の原因は,「いいよ」に含まれる許可・被許可の関係にあると考えられる。「いいよ」を英語でいえばおそらく,「You may~」が妥当であろう。つまり,何かをする許可を与えられるということである。そして,ここには必ず,許可を乞う前提があるはずなのである。

 

例えば先ほどの例ならば,

 

これ欲しいな。これ持っていっていいですか?

⇒「持っていっていいよ

 

『ちょっと味薄いな。コショウかけてもいいですか?

⇒「かけてもいいよ

 

ペロペロ。やっぱりモップの表は甘いな。裏も舐めてみてもいいですか?』

⇒「舐めてもいいよ

 

このように,許可を乞う文脈があってはじめて「~していいよ」は効果を発揮するのだ。そして,その許可を乞う際には必ず「~したい(I want to~)」があるはずなのである。しかし,違和感を覚える場面ではこういった文脈がほとんど成立していないのである。

 

例えば,

 

『あぁ!掃除してぇぇえ!!掃除してもいいですか?!』

⇒「掃除していいよ

 

書類チェックしてぇぇえ!!この書類チェックしといてもいいですか?!』

⇒「チェックしていいよ

 

これまで一度も掃除をしたい,と思ったこともないし,書類をチェックしたいと思ったこともない。それにも関わらず,まるで私が渇望した結果,特別に許可をいただいたという風に見えてしまうことからムズムズする違和感を覚えるのであろう。

 

こういった,やりたいと思ってもないのに,一方的に許可を与えられる状況は,思春期の子どもが親に向かって言う「誰も産んでくれなんて言ってねぇし!!」という状況と酷似している。この言葉は親を悲しませるが,思春期の不安定な心理状態にとっては,頼んでもいないのにまるで「生きてもいいよ」と言われるような一方的な状況が面白くないのだ。これは,親や社会に対して,一方的な主従関係ではなく,対等の地位に立ちたいと思う気持ちの表れなのかもしれない。

 

しかし,時には,頼んでもいないからこそ,予期していないからこそ,得られた幸せだってあるだろう。それこそ,産んでくれとはいってはいないが,生きる許可を与えられたために,美しい自然に心を打たれたり,素敵な人と出会い心を通わせたりする経験ができるのだ。そんな素晴らしいチャンスをヤンチャな受精卵が判断できるはずもなかろう。したがって,ある状況では一方的に許可を与えられる方が良い結果を得られる場面もあるのである。

 

そう,つまり,先ほどから願ってもないのに「~していいよ」と言われ釈然としないと主張する自分こそが,未熟な受精卵ボーイだったのだ。その「いいよ」の先にある未知のワンダーランドに想像が及ばなかった。今こそ,悔い改め,先輩のありがたい「いいよ」を一心に受け止めるべきだ。

 

 

掃除していいよ

 

よっしゃ!ありがとうございます!心も洗われるようだなぁ

 

俺の代わりに仕事してもいいよ

 

ひゃあぁ!ありがとうございます!たくさん仕事が覚えられるなぁ!

 

金かしてもいいよ

 

え・・い,いいんですか?!じゃあ,とりあえず5万円・・・!!よ~し,無駄遣いせずに済んだな!

 

明日,午前3時に福岡に迎えに来てもいいよ

 

え・・?!あ,朝3時に福岡はさすがに・・

 

明日,午前3時に福岡に迎えに来てもいいよ

 

あの・・・それに,明日は用事があるので

 

迎えに来てもいいよ

 

・・・・・・・・ハイ・・・

 

 

 

ガソリン代,お前が出していいよ

 

金ない?臓器売ってきていいよ

 

なに?泣かなくていいよ

 

・・・・・・・・・・

 

おい,包丁なんか持たなくていいよ

 

まて,こっちに来なくていいよ

 

落ちつけ,話聞いていいよ

 

ウッ・・急所に刺さなくていいよ

 

ちょ,血止まっていいよ

 

あ・・意識遠のかなくていいよ

 

・・・・・何回も刺すのやめて・・・いいよ

 

・・・・・・い・いよ

 

・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・・いい・・

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・なるほど,職場の先輩の無茶な要求に耐えきれなくなって,今回の犯行に及んだわけですね。それでは,より詳しいお話は署で伺いたいと思います。署までご同行願えますか?」 

【連載】禁煙日記 2日目

 

yaitaonigiri.hatenablog.com

 

初の禁煙2日目となった。

何もしてないと自然とたばこの箱に手が伸びてしまいそうなので,映画を見まくることにした。

 

まず,見たのはインターステラー

f:id:yaitaonigiri:20201007085137j:plain

 

2時間40分という長尺なので,今までスルーしていたが,禁煙の今は長ければ長いほど良い。

 

簡単なストーリーとしては,人類滅亡が秒読みの世界で,人類の移住先を見つけるために宇宙へ飛び立った父親が織りなす時空を超越した愛の物語である。

 

五次元空間の表現美,高度な文明とクラシック音楽コントラスト,など様々な良いポイントがあったが,何よりも人間のアツさが心を打った。ノーラン監督の作る映画は難解と言われるが,誰よりも人の愛や熱を表現することに長けた素晴らしい監督だと思う。

 

映画は素晴らしい。作品に没入する中で「タバコ」という概念は一切浮かばなかった。この調子で次の映画を見ることにした。

 

 

次に見たのはパルプフィクション

f:id:yaitaonigiri:20201007090120p:plain

f:id:yaitaonigiri:20201007090254p:plain

あ・・・・

 

 

 

 

 

タバコフィクションキルビルやフロムダスクティルドーンなどで有名な,クワエティ・タバコティー監督による遊び心満載なオムニバス形式のストーリーだ。コーヒーショップの強盗カップル(喫煙者),マフィア(喫煙者),八百長ボクサー(喫煙者),のそれぞれの話が時系列バラバラに語られるが,最後には一本のストーリーとなるという構成の妙ともいえる超傑作だ。

 

DVDを買ってしまうほど,この映画は好きなのだが,「タバコ」がメチャクチャ出てくる。気が付くとココアシガレットに火を点けているほど「タバコ」との親和性が高すぎるのだ。

f:id:yaitaonigiri:20201007091506p:plain

 

 

 

人間は色の情報によって快楽物質を放出するという話を聞いたことがある。つまり,カラー映画内で見られるカラフルなタバコの箱や赤い火を見るから吸いたくなるのであって,白黒ならそれは起こらないはずなのである。

 

そこで,次にみたのは白黒超クラシック映画,ゲームの規則

f:id:yaitaonigiri:20201007092024p:plain

f:id:yaitaonigiri:20201007092118p:plain



 

ストーリーは,第二次世界大戦前夜のフランス,

f:id:yaitaonigiri:20201007094520j:plain

(シュボ!)

 

 

ブルジョワ社交界に,大西洋横断を達成した飛行士が招待される。飛行士はある女のために偉業を達成したというが,それはブルジョワの奥様であった。

f:id:yaitaonigiri:20201007094538j:plain

(プカー)

 

 

既婚の奥様と不倫関係にあった飛行士。一方,その奥様の旦那である,ブルジョワ旦那も妻帯者でありながら別の女と不倫をしていたのだ。

f:id:yaitaonigiri:20201007094601j:plain

(プカプカ)

 

 

 

奥様に仕える使用人も,飛行士の友人も,登場人物ほぼ全員不倫をしているという,人間関係を線で表したら焼きそばみたいになっちゃうカオスなブルジョワ界。戦争を前にしても,不倫やパーティーなど目の前の快楽だけを追う様子を皮肉っている。

f:id:yaitaonigiri:20201007094550j:plain

(ふい~~)

 

 

 

ちょっとたばこ吸い過ぎじゃない??

この時代の人間は,文字通り息をするかのようにたばこを吸っている。寝室でも,キッチンでも,山の中でも・・・

 

白黒とはいえ,これほど目の前で吸われると気が気ではない。ココアシガレットに火を点けることでなんとかこらえようとするが,限界は近い・・・映画なんて見なければよかった・・・・

 

 

そんな時,外から父が呼んでいる声がした。どうやら水を箱買いしたが重いので運んでほしいとのことだった。こういう悶々としたときは,場所を変えるのが一番。喜んで手伝った。

 

重い箱を2つ運んだ。体を動かすと気分がリフレッシュされて良い。すっかり気分を入れ替え,自分の部屋に戻ろうとすると,父が「手伝ってくれてありがとう」といってプレゼントをくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:yaitaonigiri:20201007100346j:plain

たばこを。

 

 

 

ふざけんなよ!!!禁煙したって言ったでしょ?!?ビーガンにビックマックあげるようなものですよ?!しかも,これいつも吸ってるやつじゃないし(いつもはライト)

 

 

ふざけんなよ!!とブチギレて握りつぶした。初めて父親の胸ぐらもつかんだ。俺は本気なんだよ!と怒りを込めて叫んだ

 

 

 

 

・・りしたら,悲しむだろうなと思ったので「ありがとう」といってもらった。別に欲しかったわけじゃない。断れば悲しむと思ったからネ。まじまじ。全然吸いたいと思ってないから。まじまじ。でも,目の前にあるとダメだわ。吸いたくないけど吸いたくなっちゃうもん。とりあえず,ベランダに隠しに行こうかな。

 

 

 

こうして,ベランダにある室外機の横に隠すことにした。どこがいいかな・・・あ!!ここがいい!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:yaitaonigiri:20201007101221j:plain

あ・・・・

 

 

 

f:id:yaitaonigiri:20201007101315j:plain

 

 

 

 

 

【連載】禁煙日記 1日目 (4回目) ~今回はガチ~

【お詫び】

これまで3回に渡り,禁煙をすると宣言しておきながら,云々と理由をつけて「う~ん残念!!」という掛け声と共にタバコを吸ってしまい,大変すいませんでした(すったけど)。大学生になった途端,「ほろよい」を見下し,「ストロングゼロ」を常飲していることを自慢するアルコールイキリキモ大学に匹敵するウザさの,ヤニイキリキモ大学生になっていたことをここに謝罪いたします。

 

かねてから苦しんでいた謎の心臓痛と皆様に嘘をつき続けるという心の痛みから,本日よりガチで禁煙をしたいと思います(4回目)。仏の顔も三....四度までと言いますので,許されることでしょう。

 

f:id:yaitaonigiri:20201005083649j:plain

マグマに沈みゆく博士からのアドバイス

 

 

 

 

さて,本格的に禁煙をするために,もったいない気持ちもしましたが,思い切ってタバコの箱をひねりつぶしました!オラァ!!!

 

f:id:yaitaonigiri:20201005084623j:plain

グッシャアア!!!!!



 

 

f:id:yaitaonigiri:20201005084215j:plain

マグマに沈みゆく博士からのアドバイス

 

 

これで後戻りができなくなってしまいました。しかし,また吸いたくなってたばこを買ってしまったら元も子もありません。したがって,まずは,吸いたくなった時に他の代用品を使用することでたばこを忘れる作戦にしようと思いました。

 

以前my bluというVAPE(水タバコみたいなもの)を使用していましたが,

f:id:yaitaonigiri:20201005090539j:plain

こういうの

1年前くらいに東京の友人の家に忘れてきてしまっていました。取りに行くのも送ってもらうのも面倒だったので,ずっと放置していましたが,いかんせん今回はガチなので不躾なお願いではありましたが送ってもらうことにしました。

 

その友人は「細けぇことはいいんだよ!!」のどんぶり勘定的人物なので,VAPEをその辺のレシートとかにくるんで,切手で送ってくるんじゃないかなと思っていました。しかし,彼は非常に丁寧な梱包をして迅速に送ってくれていました。

f:id:yaitaonigiri:20201005090613j:plain

丁寧な梱包に涙

疑ってしまって申し訳ない気持ちと共に,律儀にタオルでくるんでくれたホスピタリティに感動しました。ちょうどその時,私の父が目の前にいて,それは何だと尋ねてきました。ガチガチのヘビースモーカーである父にも勧めてあげるために,VAPEというものを見せてあげることにしました。これは,香り付きの水蒸気を吸うものでね・・と説明しながら箱を開けると,,,

 

 

 

 

 

f:id:yaitaonigiri:20201005091021j:plain

 

中にコンドームが入っていました。

 

 

 

 

彼にとっては粋な計らいだったかもしれませんが,私にとっては非常に気まずい瞬間でした。父にはメンテンナンス用の・・やつ!!!という非常に苦しい言い訳をしましたが,0.01ミリばりのうすら笑いをされただけでした。

 

(彼のエピソードはコチラ)

yaitaonigiri.hatenablog.com

 

 

 

少々のトラブルはあったものの,無事禁煙生活を再開することができました。今回はガチなので,この後「う~ん残念!!」といってたばこを吸うというオチもありません。なぜなら今回はガチだからです。明日には初めて禁煙日記2日目が更新できるでしょう。なぜなら,今回はガチだからです。こんなに「今回はガチ」と重ねて結局吸うんか~いというお約束もありません。なぜなら,今回はガチだからです。

 

 

さて,たばこが吸えなくなったのでオチがありません。しかたがないので,4コマを置いておきます。

f:id:yaitaonigiri:20201005094741j:plain

 

 

 

f:id:yaitaonigiri:20201005095214j:plain



 また明日!!