はじめに
始めて書評というフォルダを作った。しかし,その第一弾がマンガで,しかも,エロ小中学生のバイブルである「I's」を取り上げるので,それは書評と呼べるのかと思われるかもしれない。しかし,この本は色々な意味で大切な作品なので,今回,書評としてまとめたい次第である。
本との出会い
この本と出会ったきっかけは,英語の多読についての記事を読んだことから始まる。
この記事では,英語の多読の重要性を非常に分かりやすく,論理的に教えてくれた。当時,留学して半年が経とうとしていたが,未だに勉強の習慣も身につかず,英語力に不安があった自分にとっては,とても有用な記事であった。そして,すぐに私も多読を始めたいと思い,近所の図書館に向かった。しかし,1つだけ問題があった。それは,自分は英語を読むのがめちゃくちゃ苦手であるということだった。
多読は,論文や難しい本からではなく,自分の興味のあるもの&易しいレベルから始めるのが良いらしい。では,自分が興味のある事とは何か,と考えると,どうやら女の子のようであった。非常に興味がある。そして,本はハードルが高いので迷わずマンガコーナーへダッシュした。「女の子×マンガ」。この組み合わせで探したところ,ドタバタ微エロ系漫画の金字塔,「I's」を見つけたのだ。
公共図書館に微エロ漫画はふさわしいのか,と疑問に思ったが,こういうのは理屈じゃないんだ。やっぱりアメリカサイコーだぜ。
内容
メインストーリーは,主人公イチタカ(Ichitaka)とクラスのマドンナ,イオリ(Iori)が,もどかしいすれ違いを繰り返す中,幼馴染のイツキ(Itsuki),小悪魔後輩イズミ(Izumi),そしてお隣のお姉さんアイコ(Aiko)という様々なアイ(I)ガールズ達が2人の関係をさらにかき乱すというドタバタラブコメディー。
連載開始が1997年ということで,最初は古すぎてブヒれる(ブヒブヒ言いながらキモイ顔でマンガを見ること)か不安だったが,開始2秒でブヒれた。20年前に描かれたとは思えない洗練されたイラストと,ハラハラドキドキさせるストーリーは私を大いに引き込み,いつしか英語で読んでいるということを忘れていた。
メインヒロインのイオリとの,淡い恋愛関係を中心に描かれるが,サブキャラクター達も引けを取らないほど魅力的であった。特に,小悪魔後輩であるイズミに関しては並々ならぬ熱い思いでブヒってた。イズミは4人のガールズの中で最も積極的にイチタカに対してアプローチを仕掛ける娘であった。
(I's 10巻:この日ほど,なぜ自分は2次元でないのかと後悔した日はない)
イズミはイチタカがイオリに思いがあることを知りながらも,虎視眈々とイチタカを狙う(がんばれ!)。一見,がめついようにも見えるが,実は,イチタカの受験のために毎日絵馬を掲げたり(けなげ!),イオリとの約束を優先させてくれたり(物分かりがいいぞ!)と,自分の立ち位置をわきまえたしっかりした娘なのだ(かわいいぞ!)。
さらに,最終的にはイオリとイチタカは付き合うこととなるのだが,そこで自分はもうチャンスがない身であると知りながらも,イチタカのために必死に抗弁するなど,人情味あふれる面まであるのだ(サイコーだ!)。
(I's 15巻:叶わぬ恋と知りながら,それでもイチタカのために戦う...その涙を拭ってあげられるのは.....俺か...)
英語の多読においては,分からない単語に出くわしたとしても辞書を引かずに,そのまま読み進める方が良いらしい。しかし,私はイズミちゃんが何を言っているのかを一字一句逃したくなかった。そのため,イズミちゃんが話すパートだけは,死ぬほど丁寧に精読し,100%理解しようと努めた。その結果,語彙力が少し上がったと思う。
残念だった点
最初は,一応英語の勉強のためと思って始めたが,最終的に自分史上,類を見ないほどでハマってしまった。神作であることは間違いないのだが,出過ぎた真似であることを承知で,2つだけ希望を述べさせていただきたい
(1) イチタカ●ね!
イチタカ君には第5話くらいには他界して欲しかった。なぜなら,イオリちゃんにアプローチをかけられない自分を一応責めつつも,ちょっと分が悪くなるとすぐに責任転嫁して,そして,他の女にもシッカリとちょっかいをかけるという不誠実っぷりが気に食わなかったからだ。なにより許せなかったのはっ....イズミちゃんとキスをしたところだっ...(上参照)。死●!!
しかしその人間味あるところが話を面白くしていたのは事実である。彼がウジウジしてたからこそ,そこに感情移入できたし,様々な困難や挫折の中,男として成長していく姿は立派で,最後は自分の息子のように喜べた。やっぱり死ぬな!感動をありがとう!
(2) 英語版の弊害
これは,英語版ではしょうがないことだが,いきなりお互い「Hey, Iori!」「Wow!! Ichitaka!」とお互いのfirst nameで呼び合ってるのは趣がなかった。日本語版を調べたら,「イオリちゃん」,「イチタカくん」と呼び合っていたので,ウブな距離感が翻訳の過程で薄れてしまったのは残念だった。
また,日本語特有の女性特有の語尾(~だわ,~よ)や,キャラごとの特殊な言い回し(you:アンタ,キミ,そっち)が分からないため,セリフからキャラクター像をつかみにくかった。例えばキス前の大事なこのシーン,
Izumi「Even when you have that sad face....I still like you」
Ichitaka「Hm?」
というセリフは,
イズミ「テメェの悲しそうな顔もアチキ好きじゃけぇ」
イチタカ「デェフフwww 失敬!www 聞き逃したでござる!www」
と日本語では言っていた可能性もある。英語だけみたら健気で可愛い後輩だと思ったのに,実は日本語版ではこのようなギトギトの訛りだったとしたら.........
あれ?これはこれでアリだな。
まとめ
この本は英語多読の足掛かりとしての役割をしてくれただけでなく,そのワクワクさせる甘酸っぱい恋愛ストーリーで自分のギロギロに濁った心をフレッシュなあの頃に戻してくれた。
また,留学先で嫌なことや辛いことがあっても「でも俺にはイズミちゃんがいるし?ノーダメージですYO」という健康的なモチベーションをくれた。今後も多読をして英語力を高めるのと同時に,VRの発展に全身全霊を注いで,1日でも早くイズミちゃんに会えるように頑張りたい。
(追記: これまでの記事を全て編集し直しました。よろしければご覧ください。)